オランダのミュージカル『Soldier of Orange』が7月12日、約16年にわたる上演を終えた。2010年10月の初演から3967公演、来場者は400万人。旧ファルケンブルフ海軍航空基地に建てた専用劇場TheaterHangaarでは、初日からAlcons AudioのPAシステムが使われてきた。

劇場の特徴は、1100席の客席全体を直径30mの回転台に載せたこと。舞台セットを客席の周囲に並べ、観客が180度の映像とともに場面から場面へ移動する。スピーカーは重量のある回転構造へ載せられないため、客席の外周に固定する必要があった。

音響設計を担当したJeroen ten Brinkeは、約100台のAlcons LR14プロリボン・ラインアレイを選択。14か所にL-C-Rを配置し、各場面にダブル15インチサブウーファーを組み合わせた。駆動には30台のALC4 2×2kWアンプ内蔵コントローラーを使用している。

客席が回転すると、ある場面の右チャンネルが次の場面では左チャンネルになる。軸上と軸外の音色、位相、明瞭度が大きく変われば、場面転換そのものが聞こえてしまう。LR14の指向性と位相特性をそろえ、固定された14組の間を連続的につなぐ設計が必要だった。信号は専用ドラムに巻いた光ケーブルで送り、累積7000度の回転に対応した。

担当エンジニアによれば、ほぼ毎日の運用にもかかわらず、全期間を通じてLR14アレイのスピーカー交換はゼロ。公演終了のニュースは、特殊な演出を支えた設計だけでなく、16年単位で見たPA設備の耐久性を示す事例でもある。