LS LUXE
6.5インチUni-Q、MAT、VECOを統合した、KEF最上位の2ウェイ・ワイヤレスアクティブスピーカー。
- ドライバー
- 6.5インチ Uni-Q + MAT
- 再生周波数範囲
- 35Hz–47kHz(-6dB)
- アンプ(各スピーカー)
- 280W Class D + 100W Class AB(1本)

製品概要
LS LUXEは、ストリーミング、入力切り替え、D/A変換、DSP、アンプ、スピーカードライバーを左右一組に収めた2ウェイのワイヤレスアクティブスピーカーだ。KEFは同社の2ウェイ・ワイヤレス製品における最上位機と位置付け、LS50 Wireless IIより大きい6.5インチUni-Qと、新開発のVelocity Control Technology(VECO)を採用した。
製品の焦点は、単に機能を追加することではなく、ドライバー、アンプ、センサー、DSP、キャビネットを一体で設計することにある。W2プラットフォームとKEF Connectアプリを共有しながら、LS50 Wireless IIとは低域の余裕、振動板制御、造形と構造の統合で差を付けている。
仕様
- システム形式
- 2ウェイ・ワイヤレスアクティブスピーカー(ペア)
- ドライバー
- 第12世代Uni-Q:165mmアルミニウムLF/MFコーン、25mm MAT付きベント型アルミニウムドーム
- 周波数特性
- 42Hz–28kHz(±3dB、85dB/1m、EQ設定に依存)
- 再生周波数範囲
- 35Hz–47kHz(-6dB、85dB/1m、EQ設定に依存)
- 最大出力音圧
- 110dB(1m)
- アンプ(各スピーカー)
- LF/MF:280W Class D、HF:100W Class AB
- 対応解像度
- ネットワーク最大384kHz/24bit、光96kHz/24bit、同軸・HDMI eARC 192kHz/24bit
- 左右間接続
- ワイヤレス96kHz/24bit PCM、Ethernetケーブル接続192kHz/24bit PCM
- 物理入力
- HDMI eARC、光デジタル、同軸デジタル、3.5mmアナログ、Ethernet
- ワイヤレス
- デュアルバンドWi-Fi 6、Bluetooth 5.3、AirPlay、Google Cast、UPnP
- 外形寸法(1本)
- 高さ336 × 幅223 × 奥行298mm
- 質量
- 20kg(ペア)
- 仕上げ
- Eclipse Black、Mineral White、Dusk Titanium
設計・技術
6.5インチの2ウェイUni-Q
音響の中心は、第12世代の6.5インチUni-Q。165mmのLF/MFコーンの音響中心に25mmツイーターを配置し、広い範囲で両ユニットの放射位置をそろえる。LS50 Wireless IIの5.25インチUni-Qに対して振動板面積を拡大し、KEFのホワイトペーパーではキャビネット容積も約50%増えたと説明されている。
球面に近づけたBMCキャビネット
Ross Lovegroveが手掛けた外形は、装飾だけではない。ガラス繊維で強化したBMC(Bulk Moulding Compound)を用い、ドライバー周辺から角や段差を減らした丸い外形とすることで、KEFは回折を抑える狙いを示す。材料強度を利用して内部補強が占める容積を抑え、背面のアルミニウム製ヒートシンクとフレアポートも外形へ統合した構造だ。
Metamaterial Absorption Technology(MAT)
MATは、ツイーター背面から出る音を複雑な流路を持つ円盤状の吸音構造へ導き、背面反射が振動板へ戻るのを抑える技術。KEFは不要な背面音の99%を吸収するとしている。この数値はメーカーの評価であり、ここでは独立測定値として扱わない。
Velocity Control Technology(VECO)
VECOは、LF/MFコーンの速度を電磁式センサーで検出し、その信号を電流駆動アンプへ帰還して、入力に対する振動板の動きの誤差を補正する閉ループ制御。ホワイトペーパーでは、柔軟なプリント基板上の検出コイルを使い、センサー出力が約400Hzまでコーン速度を追う構成を示している。LS LUXEは、KEFがVECOをバスレフ型スピーカーへ初めて適用した製品でもある。
電流駆動とモーションフィードバック
各スピーカーはLF/MF用の280W Class DとHF用の100W Class ABを搭載する。KEFの説明では、一般的な電圧駆動に対して高い出力インピーダンスからコイル電流を制御する電流駆動を採用。VECOの帰還はLF/MF系に入り、アンプとドライバーを個別部品ではなく制御対象を含むひとつの系として動作させる。
Music Integrity Engine
Music Integrity Engineは、クロスオーバー、位相補正、低域制御、室内に合わせたEQを担うDSP群。KEF Connectアプリでは壁や机との距離、部屋の響き、低域量、トレブル、サブウーファー接続などを設定できる。アクティブ構成のため、ドライバーとアンプの既知の特性を前提にフィルターと保護を設計できる。
W2 Wireless Platform
ネットワーク再生と操作には、LS50 Wireless IIやLS60 Wirelessと共通するW2プラットフォームを採用。AirPlay、Google Cast、Spotify Connect、TIDAL Connect、Qobuz Connect、UPnPなどに対応し、ネットワーク入力は最大384kHz/24bit。Roon Readyは2027年の提供予定と明記されているため、現時点の対応機能とは区別する必要がある。
テレビ、アナログ、サブウーファーへの拡張
HDMI eARC、光、同軸、3.5mmアナログ入力を備え、ストリーミング専用機ではない。左右それぞれにサブウーファー出力があり、KEF Connect側でハイパス、ローパス、ゲイン、位相を調整できる。左右間はワイヤレス接続に加え、より高いサンプルレートを使うEthernet接続も選べる。
設計の読みどころ
5.25インチから6.5インチへ拡大した意味
LS50 Wireless IIは5.25インチUni-Q、LS LUXEは6.5インチUni-Qを採用する。KEFはLS LUXEのキャビネット容積を約50%大きくし、自社測定でLS50 Wireless IIより40Hz以下の音響出力が8~10dB高く、低域から中域の高調波歪みが6~14dB低いと報告している。
技術的な解釈
振動板面積と箱容積の増加は、同じ音圧を得るために必要な振幅を減らし、低域のヘッドルームを増やす方向に働く。LS LUXEの利点は単に『大きな音が出る』ことではなく、実用音量での低域余裕と歪み低減にあると読むのが妥当だ。ただし、公開グラフはKEFの測定であり、第三者による比較検証ではない。
VECOはアクティブシステムだから成立する
VECOはLF/MFコーンの速度を検出し、その信号を専用の電流駆動アンプへ帰還する。センサー、アンプ、ドライバー、DSPはLS LUXE用に組み合わせて設計されている。
技術的な解釈
これはパッシブスピーカーに外付けDSPを加えるだけでは再現しにくい制御だ。帰還量、安定性、ドライバー保護、バスレフ系の低域アライメントまでメーカー側で管理できることが、アクティブ化の本質的な利点となる。
造形と音響設計を分けて考えないキャビネット
キャビネットはRoss Lovegroveが造形し、ガラス繊維強化BMC、丸い外周、ドライバー周辺の段差を抑えた前面、背面ヒートシンクとポートの一体構造を採用する。
技術的な解釈
有機的な外形はブランド表現であると同時に、回折、内部容積、剛性、放熱、ポート配置をまとめる設計手段でもある。見た目だけを従来型の箱へ移しても、同じ音響構成にはならない。
LS Wirelessシリーズ内での位置付け
KEFはLS LUXEをLS50 Wireless IIからの上位選択肢として案内し、2ウェイ・ワイヤレス製品のフラッグシップと位置付ける。一方、LS60 Wirelessはスリムなフロア型の3ウェイ構成で、製品形式が異なる。
技術的な解釈
LS LUXEはLS60 Wirelessの小型版というより、ブックシェルフ型2ウェイを高級素材、閉ループ制御、工業デザインまで含めて再設計した製品だ。価格帯だけでなく、設置形式と設計思想で選ぶべき位置にある。
出典
- 01KEFLS LUXE | Wireless HiFi Speakers
メーカー公式製品ページ · 2026年8月14日確認
- 02KEFLS LUXE Information Sheet
公式仕様書 · 2026年8月14日確認
- 03KEFLS LUXE White Paper
公式技術資料 · 2026年8月14日確認
- 04KEFLS LUXE vs LS50 Wireless II: Which Wireless Bookshelf Speaker Should You Choose?
メーカー公式比較記事 · 2026年8月14日確認
- 05KEFVelocity Control Technology
メーカー公式技術ページ · 2026年8月14日確認
- 06KEFLS50 Wireless II
メーカー公式製品ページ · 2026年8月14日確認
- 07KEFLS60 Wireless
メーカー公式製品ページ · 2026年8月14日確認
