スイス・サンモリッツのKempinski Grand Hotel des Bainsに接続するイベント会場Billionaire St. Moritzが開業した。WSDGは8月13日、ホテル客室に囲まれた空間でライブ演奏やクラブ音楽を扱うための、構造遮音、室内音響、電気音響設計を公開した。

計画の中心は、既存の石造壁だけに頼らず、鉄筋コンクリートの殻を新設したroom-in-room構造だ。WSDGは録音スタジオ設計で用いる手法を応用し、分離構造を低周波向けに調整したと説明する。壁と天井には25cmの遮音層を設けた。

大きな既存窓は、石こうボード壁と同程度の遮音性能を目指して内側へ22mm厚のガラスを追加した。天井は異なる音響材料を重ね、空中演技用の吊り点は室内側から切り離してコンクリート構造へ直接接続する。音と振動の経路を設備支持部まで管理する設計だ。

音響はd&bのシステム、ミキシングはYamaha、統合制御はCrestronを採用する。会場には35m²で4K超のAOTO LEDウォール、Epsonプロジェクターを重ねたホログラフィック投影、34台のJB-Lighting照明、Sennheiserワイヤレスマイクも組み込まれた。

WSDGは隣接客室の静けさを保ちながら、繊細な歌声から低域の強い音楽まで運用できるとしている。MONDO-DRの記事に完成後の遮音量や室内音響指標は示されていないため、性能値としては確認できない。それでも、窓、吊り点、内装下地までを同じ遮音計画に含めた実装範囲は明確だ。