AHT Marineは、1996年にAdvanced Home Theaterとして設立された技術インテグレーターで、住宅、商業、マリン分野でエンターテインメント、制御、オートメーションを設計・統合している。ヨットでは音響、映像、照明、環境制御、ITネットワーク、通信、セキュリティまでを扱うが、ラックやAVスペースは建造初期に決まり、後から増設しにくい。機械設備、収納、サービス動線とも空間を共有するため、アンプには限られたラック高、重量、冷却条件の中で十分な出力を出すことが求められる。

AHT Marineが重視したのは、Powersoft Unicaの1RU筐体で高出力、多チャンネル増幅、内蔵DSP、ネットワーク接続をまとめられる点だった。出力はユニットあたりおよそ1,000Wから8,000Wまで選べ、筐体サイズやラック構成を変えずにスピーカー要件へ合わせられる。最近のヨット案件では約64台のアンプを指定しており、仮に2U機器で構成していれば、さらに約1ラック半のスペースが必要になったという。

UnicaのDSPはフィルタリング、リミッター、タイムアライメント、システム保護をアンプ側で処理でき、航行中に機器へアクセスしにくいマリン環境で信号経路と故障要因を抑える意味を持つ。AHT Marineの既存システムではAoIPを使っており、AES67対応は制御、監視、IT系と共存する共有インフラ上で重要になる。さらに効率の高い出力段と電源により発熱と消費電力を抑えられ、重量や冷却が船級・コストに影響しうるヨット案件で、性能を保ちながら設計上の余裕を作りやすくしている。